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INTERVIEW インタビュー
Corin(Alpha)and Kelvin & Dan (The Heavy) Interview in London
--- ファースト「Come From Heaven」とセカンド「The Impossible Thrill」について少し話して頂けますか?
Corin(以下C):
 『Come From Heaven』が何故、ああいうサウンドになったかというと、ラウドなブレイクビーツの入っていない音楽を作りたかったんだ。当時は、ビート全開の音楽や、ブレイクビーツを多用した曲を作ってたんだけど、それとは違う音楽をやりたくなってね。もっとエクレクティックで、クラシックなサウンドの曲を作ってみたかったんだよ。ただビート中心のトラックを作るんじゃなくてね。それで、レイドバックで、ストリングスを多用したて、落ち着いた音楽を作ってみたんだよ。シンガーは3人も参加しているけど、一貫したサウンドになった。曲数も多かったし、制作するのに時間がかかったよ。セカンドでは、ファーストと違うことをやりたかった。
 セカンドを制作し始める前は、どういう方向性の作品にしたいかはっきりしてなかった。サンプラーを多用するよりも、自分たちで楽器を演奏することが多くなったんだ。ただループをサンプリングするより、自分たちの演奏をループして、そこから曲を発展させた。このアルバムは、完成するのに苦労したし、時間がかかった。セカンドは僕らのベストの作品だと言う人もいるけど、僕はそう思ってない。悪い作品じゃないけどね(笑)。
 そのときから音楽に対する視点も少しずつ変わってきたし、どういう方向性に進みたいかも変化してきた。『Stargazing』の曲はもっと聞きやすいし、アートっぽい感じではなく、ダイレクトなサウンドを目指したんだ。このアルバムでは、意識的にもっとシンプルなサウンドにシフトしたかった。次の作品は、またルーツに戻って、多様性のあるアートっぽい作品になると思うよ。
--- ファーストへのレスポンスは?
C: 素晴らしかったよ。自分たちも驚いた。反応が良かったから、その後も更に曲を生み出すことができたんだ。
--- マッシヴ・アタックのメンバーとは、今でも交流はあるんですか?
C: ああ。先週会ったばかりだよ。今も彼らとよく話すんだ。ホラス・アンディの曲を彼らと一緒に作ってるんだ。誰がリリースするかまだ決まってないから、これから彼らとケンカしなきゃ(笑)。彼らは元気にしてるよ。
--- Alphaの音楽は「天国から降りてきた音楽」と言われていますが、音楽を通して何を表現したいのでしょうか?
C: 地獄へ堕ちていくサウンドかな(笑)ここ1年はずっとインスト・トラックばっかり作ってるんだ。ボーカル・トラックはあまり作ってないんだけど、新曲はすごくカッコいいよ。インストでいろいろと実験してるんだ。ヴォーカル入りの曲を作ってると、ときどき方向性やスタイルで制限されることがあるんだ。インストの方が自由に音作りをできることもある。最近、作ってるインストは、いろんなスタイルのものがあるんだ。でも、来年はヴォーカル作品を出そうと思ってる。そのために曲はたくさん作ってあるんだ。次のヴォーカル作品では、何人かのシンガーを起用するよりも、一人に絞りたいと思ってるんだ。その理由は、もっと一貫性のある作品を作りたいから。あまりゴチャゴチャさせたくない。ケルヴィンとの新曲がすごくいいよ。その方向性でアルバムを1枚作りたいんだ。他のシンガーを参加させるんじゃなくてね。ウェンディとの新曲も、とても壮大なサウンドで、60年代や70年代のシャーリー・バッシーに近い歌い方なんだ。あとはオーケストラさえあればバッチリなんだけどね(笑)」
--- 80年代と90年代に比べてシーンは変わったと思いますか?
C: もちろんシーンは変化してるし、リスナーも変化を求めてる。DJカルチャーは昔ほど人気がないし、最近のお客さんは生バンドを見たがってるんだ。だから、最近はライブ・バンドが再評価されてる。つまらないバンドも多いけどね。でもいいバンドもいるよ。
--- ライブ中にあなたはオーディエンスに話しかけるMCは好きですか?
C: いや、好きじゃないね。それはケルヴィンの仕事だよ。僕はただ楽しんでるだけ。ドラムの後ろに座っていればいいだけなんだ(笑)
--- あなたはレーベルを立ちあげましたね。
C: うん。でも僕らの力だけでやったわけじゃないよ。ラッシュのようなレーベルも助けてくれたんだ。
--- メジャーとインディでやるのとは違いますか?
C: もちろん違うよ。大きなシステムから離れると大変な面は多いし、大量のレコードを売るのも難しいんだ。インディだと資金も少ないから、大変だけど、楽しめるよ。音楽を作れるわけだし、やめる理由なんてない。自分たちでリリースすると、自分たちでコントロールできるからいいんだ。メジャーと仕事すると、レコード会社の人間が何もやってくれなくて、身動きで取れないこともあるんだ。メジャーだと自由にできないこともあるんだよね。
--- メジャーと契約している時は、何か考えたり、思ったことはありますか?
C: フラストレーションを感じたよ。なんで、レコード会社の人間はちゃんと仕事しないんだろうと思ったよ。
--- ストレスを感じました?
C: いや、そうでもないよ。最初のうちは、嬉しかったけど。待遇も良かったからね。
--- 音楽に込められた想いは?
C: 人生の全ての要素が音楽に反映されてるよ。一つのことを表現しようとしてるんじゃなくて、全てだよ。
--- 東京、パリ、スペインでもツアーをやってきましたが、他の国で自分の作品がリリースされて、そこでライヴをやることについてどう思いましたか?
C: 素晴らしい気分だよ。外国でライブをやって、お客さんが自分の曲を知っているのを見るとすごく嬉しいね。オーディエンスが曲を知っているのと、みんなが知らない新曲を演奏するのと全く反応が違うんだ。もちろん、レコード店で自分たちの作品が並んでいるのを見るのも嬉しい。
--- 日本のオーディエンスはどうですか?
C: 素晴らしいね。DJイベントでプレイしたけど、お客さんが凄くのってたよ。僕らが手がけたリミックスを回したら、反応に驚かされたね。
--- 東京という街は好きですか?
C: 大好きだね。またすぐに戻りたいよ。東京にいくといつも楽しめるんだ。他の街よりもクレイジーだし、全く違う世界なんだ。僕が住んでるところは、東京に比べると田舎だよ。素晴らしい街だよね。いくと、すごく歓迎されるし文句ないよ。建物も建築もおもしろいし、人も親切だし、そっちに行って早くライブをやりたい!
--- 自分のレーベルから新作をリリースしますが、どういう思いですか?楽しみですか?
C: もちろん。『Lost in a garden of clouds Part 1』も自分たちのレーベルからリリースしたんだ。Part 2は来年の頭に出るんだ。その後にリミックス・アルバムも出すし、同時期にボーカル・アルバムも出す。いい作品をたくさんリリースできるからすごく楽しみだよ。自分たちでプロモートできるのが嬉しいね。最近はライヴをたくさんやってるんだけど、やればやるほどクォリティがあがってるんだ。お客さんの反応もいいよ。
--- リミックス盤のライセンスを獲得するのは難しかったですか?
C: もちろんすごく難しいよ。殆どはライセンスが高すぎて、使えないんだ。いいリミックスがあっても、自分たちで使用するのが不可能なんだよね。でもコールドプレイとマッシヴ・アタックのリミックスは大人気だし、それは入ってるからファンは喜んでくれるよ。マイナーなリミックスも入ってる。サイレント・ポエッツのリミックスも入れると思うよ。
--- 一番気に入っているリミックスは?
C: どれだろう?デルタというバンドの為にやったリミックスとか。マイナーなバンドなんだけど、残念ながらレコード会社が使用を許可してくれなかったんだよ。ひどいよね。レコード会社が、僕らが払えないような額を欲しがってるんだ。ひどい!だからリミックス盤には入ってないんだよ。今度その曲をインターネットで流しちゃおうかな(笑)。コールドプレイのリミックスもすごく人気があるし、みんな気に入ってるよ。
--- このリミックス・アルバムの曲について教えてもらえますか?制作プロセスは?
C: 他の人の曲をリミックスする作業は楽しいんだ。人の曲を全く違うサウンドに作り変えないといけないんだけど、最初はどうすればいいか分からない。ヴォーカルを聴いて、ビートを加えて、オリジナルと違うリズムを作り出そうとするんだ。そこから、トラックの方向性が見えてくるんだ。オリジナルと違うサウンドにするんだけど、ヴォーカルはそのままにしておくんだ。ヴォーカルがつまらない曲の場合、切り刻んじゃって使うけどね(笑)。リミックスを手がける場合、新たな曲を作曲しなくて済むからやりやすいんだ。
--- ロバート・プラントは?
C: いい人だったよ。彼から、ある日電話がかかってきて、彼は興奮してずっと話してたんだ。僕はトーストを食べてる途中だったんだけどね。悪夢だった!(笑)あの曲のリミックスは自由に作ったよ。
--- コールドプレイは?
C: あの曲は作るのに時間がかかった。いくつかのアイデアを試したんだけど、上手くいかなかったんだ。僕は、自分の子供のオモチャの音を使ってみたら、上手くいったんだよ。曲と相性がすごく良かった。"London Bridge Is Falling Down"の童謡もサンプリングして曲を構築していったんだ。そこにビートを加えたんだよ。コールドプレイはすごく気に入ってくれたよ。あのリミックスのライセンスを獲得するのは時間がかかったね。マネージメント会社とレコード会社を何度も連絡したんだけど、『興味ない』って言われたんだ。コールドプレイがグラストンベリー・フェスティバルで演奏したんだけど、友人が、彼らの泊まってるホテルで働いてたんだ。それで僕は彼らのライヴの後に、彼らにファックを送ることにしたんだ。いかにもレコード会社っぽいちゃんとしたファックス用紙で送ったんだけど、下の方に用件を書いておいたんだ。僕の家はフェスティバル会場に近いんだけど、『家からコールドプレイの演奏が聴けて、とても格好良かったよ。君たちのリミックスを作ったんだけど、ライセンスしたいんだ』とファックス用紙に書いたんだ。彼らにこのファックスが届いたみたいだよ。数日後に電話がかかってきたからね。マネージメント会社は、バンドに連絡も入れてくれてなかったみたいだから、がっかりしたよ。だから、ライセンスをバンドから直接獲得できたんだ。バンドがレコード会社を説得してくれたんだ。
--- ラムチョップは?
C: ラムチョップに連絡をとれる人が全く見つからないんだ。レコード会社を通しても、いつも行き止まりなんだよ。連絡先を知ってる人が誰もいないんだ。フランスのEMIに所属してるベンジャミン・ビアレイもそうなんだ。彼のマネージメントを知ってる人が誰もいないんだ。僕はEMIのトップの人間を知ってるんだけど、それでも、誰にも分からないんだよね。彼は音楽をまだやってるはずなんだけど、彼のマネージメントをしている人が見つからないんだ。決して楽じゃないね。
--- ブレンダン・ベンソンは?
C: それを使用できる可能性はあるかもしれない。話は進展してるよ。
--- デルタは?
C: デルタの話はもうしたよね。彼らはロバート・プラントと同じレーベル。レコード会社が使用を許可してくれなかった。使用料として4000ポンドを請求されたんだ。
--- マドラデウスは?
C: あのリミックスを収録したいか分からないんだ。別に彼らが悪いわけじゃないんだけどね。
--- アコは?
C: 収録するか分からない。悪い曲じゃないけど。
--- ブラインド・ループ・マスターは?
C: それは是非入れたいね?RUSH!が使用許可してくれるかな(笑)。
--- サイレント・ポエッツは?
C: イエスと言ってくれた。でも、法務担当者からまだ電話かかってこないんだ(笑)。でも許可はもらってるよ。
--- Lost in A Garden of Clouds part1を作るきっかけは?
C: 古い無声映画のために音楽を作曲する仕事をしたんだ。映画館で演奏したんだよ。そういう映画のために作ったインストの楽曲が出発点だったんだ。曲を聞き返したら、おもしろい作品になると思ったんだよ。そのアルバムの制作にしばらく時間をかけた。ロスト・イン・ア・ガーデン・パーティーというイベントを、ドーセットというイギリスの郊外で開いたんだ。巨大テントの中でパーティーをやって、それをインターネットで放送したんだ。でも、嵐になって大変なことになったんだよ。雨や風のせいで楽器やコンピューターが台無しになったんだ。クレイジーだったね。田舎だったから、インターネットと衛生を利用したんだ。すごく楽しかったけど、二度とやりたくはないね(笑)。
--- 2作品にわけた理由は?
C: 『Lost in A Garden of Clouds』というタイトルにしていれば、それで完結していたかもしれない(笑)。第2弾は出さなかったかもしれないね。でもタイトルにPart 1という言葉が入ってたから、2作目をやらないといけないと思ったんだ。
--- 『Lost in A Garden of Clouds』は映画のタイトルなんですか?
C: いや違うんだ。確かアンディが思いついたんじゃないかな。レコードからサンプリングした曲の名前だったかもしれない。確かじゃないな。僕らが"迷走"している状態を表したタイトルなんじゃないかな(笑)。
--- part1とpart2はどういったところが違うのでしょうか?このプロジェクトについての簡単な説明をお願いします。またこのアルバムの聴きどころを教えてください。
C: 違いは、Part 2の方が断然いいということだよ(笑)。絶対に買ってくれ(笑)。Part 2にはすごくいい曲が入ってるよ。聞き返したけど、気に入ってる曲がたくさん入ってる。1曲目のピアノを聴くと、この作品の世界にすぐに入り込めるよ。エレーベーターを乗り降りしてる音をサンプリングした曲もあるんだ。その曲も気に入ってる。すごくアップテンポなんだ。
--- このアルバムを作り終えたときどんな気持ちでしたか。客観的に聴いてどう思いますか。
C: 完成して、『次はどうしようか?』って思ったね(笑)。Part 2を完成するのにすごく時間がかかったんだ。40曲くらい作った。どの曲を選ぶか、友人に助けてもらった。全てのチョイスに満足してなかったけど、そのままにしておいた。曲を選ぶのって難しい作業なんだよね。
--- 音楽というのは、聴く人を現実逃避させますよね。ヘッドフォンをつければ、どこへでも行くことができます。あなたにとって音楽とは?
C: そこが音楽の素晴らしいところなんだ。全く別の次元に連れていってくれるんだよ。音楽を聴いていると、時間が経過するんだ。絵画と違って、停止したものじゃないんだよ。音楽を聴いていると、別次元に旅できるし、いろんな感情を喚起させられるんだ。
--- そしてあなたにとって家族とは?奥さんもレーベルの運営を手伝っているのですよね?
C: 僕の家族?僕には大きな家族がいるよ。奥さんは最初の頃から手伝ってくれてるから、すごく助かってくれてる。僕はあまり性格がマメじゃないんだけど、彼女はきっちりしてるから、効率的に仕事ができるように手配してくれてる。最近、彼女はもっと大きな役割を果たしてくれてるんだ。彼女は妊娠してるから、今の方が時間はあるんだ。数ヶ月前からやってくれてるけど、いい結果になってるよ。
--- ラッシュプロダクションとの出会いについて教えてください。
C: 彼が以前関わっていたレーベル、トイズ・ファクトリー、フレイヴァー、ミュージック・イズ・ビューティフルを通して知り合ったんだ。彼の成長をみてきたし、すごくおもしろい人だよ。すごく努力家だしね。
--- また、彼らのレーベルの音楽的感覚をどのように思うか教えてください。
C: 素晴らしいと思うよ。マニー・マークのアルバムは大好き。パッケージも素晴らしいと思うよ。実は、パッケージを壊したくないからCDも出してないんだ。でもいいアルバムだったよね。
--- 東京のような町でブリストルに興味を持つ人が多いのは面白いなと思いますか?
ブリストルに住んでいるあなた達とは違った角度からブリストルを見ていると思うんですけど?
C: 僕らはブリストルのいろんな面を見てきたからね。坂が多いし(笑)。
--- 東京の音楽やカルチャー好きは、ブリストルに興味をもってますよね。
C: そうだね。Disc Shop Zeroに行ったときは驚かされたよ。僕が今まで関わった全ての作品が置いてあったんだ。僕さえも持っていない、僕が関わった90年代初期の作品も置いてあったんだよ。そういう意味で、東京の人たちと繋がりを感じるよ。東京の人がここまでブリストルに関心があると、逆に僕らも『ブリストルに何か特別なものがあるのかも?』と考えさせられるんだ。ブリストルの音楽カルチャーの素晴らしさを逆に気づかされたね。ブリストルでは、ユニークな音楽がサポートされるんだ。ブリストルの人たちは、トレンドに乗っかったり、レコード会社に迎合する人たちじゃないんだよ。特殊なヴァイブスがここに漂ってんだ。ブリストルの人間は、お互いの音楽に純粋に関心をもっている。ロンドンに合わせようと思ってないんだ。
--- あなたのレーベルDon't Touchについて教えてください。
C: Don't Touch Recordingsは1年前くらいに始めたんだ。レコード・レーベルなんだけど、アーティストが作品を出すための環境を提供しようとしてる。アルファと同じように、他のレーベルにディストリビューションしてもらって、助けてもらってるんだ。Don't Touchの作品は、ブリストルのスタジオで生み出されるわけだけど、一つのジャンルに固執したサウンドじゃない。様々なスタイルの音楽を出していきたいね。いろんな作品やアーティストを出すことになってるよ。ウェブサイトも作って、ファンが情報をチェックできるようにしたいんだ。Don't Touchのウェブサイトはまだ立ちあげてないけど、もう少しで完成するよ。ウェブサイトでは、どんなセッションがスタジオで行われているかをチェックできるようになるんだ。現在進行中の大きなプロジェクトは、ケルヴィンの作品かな。ケルヴィンが書いた曲をスタジオに持ち込んでから、曲がかなり発展したんだ。特にライブを重ねてきたから、多様性のあるサウンドに仕上がってる。すごくダイナミックな作品になりそうだし、おもしろいヴォーカルのアイデアが盛り込まれてるし、バックシンガーなども参加してる。ケルヴィンと一緒に曲作りをしているダンもメンバーなんだ。
--- THE HEAVYにはファンクやジャズなどいろいろミックスされてると感じました。
Kelvin(以下、K):
ファンクの要素は入ってるね。ジャズというより、古いソウルの影響が大きいよ。でもウータンみたいなヘヴィなサウンドでもあるんだ。低音のきいたファットなサウンドなんだよね。古いソウルと同じ空気なんだけど、もっと太いサウンドなんだ。そこにロックの要素も入ってる。
C: ヘヴィな曲はたくさんある。この間やったライブはかなり強力なサウンドになった。君たちが聴いたCDは結構古いもので未完成なんだ。どんどん変化してるよ。
K: ここ1年で曲は、結構変わったね。全く違うわけじゃないけど。自分たちで作った音のネタと一緒に演奏する方法を見つけたんだ。古いソウルやロックのレコードからサンプリングした音と一緒に演奏して、新たな音を生み出す方法を見つけたんだよ。
C: ライブは結構たくさんやったんだけど、それがスタジオ作業に大きな影響を与えたんだ。
--- THE HEAVYはAlphaとはまた違うサウンドですよね。
C: そう。曲はケルヴィンが書いてるからね。僕はただメンバーとして参加してるだけだよ。僕はこれまでいろんなプロジェクトに参加したり、様々な人をプロデュースしてきた。一つのプロジェクトにこだわったり、一つのジャンルにこだわってるわけじゃないんだ。最近フォーク作品の制作も終わったばかりなんだよ。今までいろんな作品に関わってきたよ。
--- THE HEAVYのアルバムはリリースしますか?
C: そう願うよ。ラッシュもリリースしてくれるといいね。『いつ終わるの?』っていつも訊いてくるんだ。でも作品がどんどん変化してるんだ。だから満足できる作品になったら、リリースして欲しい。でも、待った甲斐があるはずだよ。こういう曲を作ってる人は他に誰もいないと思うんだ。
--- メンバーは何人?
K: 僕とダンが曲を書きはじめて、コリンと曲を完成するんだ。だからこの3人がザ・ヘヴィーの中核なんだ。ベーシストもいるし、3人のバッキング・シンガーもいるよ。だから古いソウルっぽいヴァイブスのあるサウンドなんだ。
--- ラップトップなども使用してますか?
K: いや使ってないね。
C: ライブでは完全に生演奏でやってる。この間のライブの映像も持ってきたんだよ。あまりいい映像じゃないけどね。ステージの照明がないから、ほとんど見えないし!
--- ケルヴィンはヴォーカルを担当してるんですよね?
K: そう。ボーカル担当だよ。あとはタンバリンを叩く!
C: ケルヴィンは指揮者みたいな役割でもあるんだ。『音を下げろ』とかそういう指示も出すんだ。
--- あなたは?
Dan(以下、D):
僕はギター。
C: ダンは曲のリフを作ってるんだ。
--- 他のメンバーは?
C: スペンサーだね。彼がリフを強化するんだ。
D: 彼がベースラインを全部演奏してるんだ。僕らが作ったベースラインを彼は再現してくれるんだよ。素晴らしい演奏をしてくれている。
--- ドラマーは?
C: 僕だよ。ゴメン。ハハハ。
--- THE HEAVYは4人編成?
C: いや7人だよ。
K: 全部入れて7人だけど、曲作りと制作を担ってるコア・メンバーは3人だよ。ライヴでは7人。最初は、4人だけでライブをやってたんだけど、シンガーの女性に出会って彼女たちも加わったんだ。
--- 結構大きなバンドですね。
K: だから大きなステージが必要なんだ。すごくエネルギッシュで動き回るしね(笑)。
--- 結成してどのくらい経つんですか?
C: アルファがライブをやるときに、同じメンバーを使ってザ・ヘヴィーのライブを前座でやるんだ。1年前くらいからザ・ヘヴィーとしてライブをやってる。
K: 曲は2,3年前から作ってて、音作りもやってた。曲のベーシックなアイデアはリフとギターと歌から始まるんだ。どんなに凝った曲でも、ギターとヴォーカルだけで成立するはずなんだ。サンプリングしたりビートを加えてもね。ベッドルームで書いた曲をスタジオに持っていくまでに、3年くらいかかったよ。コリンはすごくサポートしてくれてるね。
C: 君は3年間もベッドルームにこもってたのか?
K: そう、スタジオに入るまでそれくらいかかったね。
C: 僕もベッドの中で3年間くらいこもりたいな(笑)。
--- ザ・ヘヴィーとして、ライブを結構やってるんですか?
C: たくさんギグをやってるよ。
--- イギリスで?
C: そう。これからロンドンでもライブをやる。次のギグは11月23日のバースのライブなんだ。その後の12月6日にロンドンでライブをやるんだ。
--- メンバーはいつ出会ったんですか?
C: 僕とケルヴィンは大昔に出会った。プロデューサー、エンジニアの仕事をやってるときに出会ったんだよね。以前のプロジェクトでケルヴィンと仕事してね。90年代の頃からやってるね。
--- あなたはこのバンドのドラマー兼プロデューサーなわけですね?
C: ああ。楽しいよ。優れたプロデューサーはみんなドラマー出身なんだ。ネリー・フーパーはドラマーとして最低だったけどね(笑)。だから彼はプロデューサーに転向したんだ。
--- このバンドの将来は?
C: まだ分からないね。素晴らしい曲を作ってると思うよ。僕らが今まで演奏してきたクラブで、お客さんはすごく興奮してくれたしね。
--- メンバーはみんなブリストルに住んでるんですか?
C: いや、ブリストルに住んでる人とバース、それに僕の近所に住んでる人もいる。だから楽じゃないんだ。
--- どのくらいリハーサルをしてるんですか?
C: まだ十分とは言えないね。でも、週に1,2回は入ってるよ。でも、クリスマスにかけてスタジオに入ることになってるんだ。
--- 影響を受けたアーティストは?
K: 僕はソウル・レコードにすごく影響されてるよ。アン・ピーブルズ、シル・ジョンソン、アル・グリーンなどが大好きなんだ。ウィリー・ミッチェルがプロデュースした古いソウルがとにかく素晴らしいんだ。あの時代の作品を聴いてみると、バッキングはヒップホップみたいなんだけど、そこに歌がのってるんだ。それが僕のバックグラウンドだね。ああいう音楽は、ベースがすごくヘヴィなのが好きなんだ。彼らのメロディの作り方、バッキング・ボーカルの使い方も勉強になるよね。僕はヒップホップやサウンドシステムの中で育ったんだ。ヒップホップとソウルの影響は大きいね。ブルースやロックも聴くよ。
C: 君はボン・ジョヴィに影響されてたんじゃないの(笑)?
D: 僕は何でも聴くよ。大好きな音楽があまりにも多くて言えないね。どの音楽も同じくらいに重要なんだ。フェイヴァリットの古いアーティストも新しいアーティストもいる。最近は新しい音楽よりも、古いパンクやブルースを聴いてる。ハウリン・ウルフとかね。最近のバンドだと、TVオン・ザ・ラジオが好きだよ。でも音楽はとにかく何でも聴く。今の時代は、あらゆるタイプの音楽を吸収できる。僕らは過去60年から80年前の音楽だって聴くことができるんだ。40年代、50年代、80年代など、どの時代の音楽も重要だよ。
K: エクレクティックでいることが大事なんだ。『この人の音楽が大好き』と一つだけ名前を挙げるのは難しいことだよ。この間ザ・キンクスを聴いてたんだけど、驚いたね。1日中聴いていて、プロダクションの素晴らしさにヤラれたんだ。女の子がバーで踊ってる音も入ってたんだ。30年前の音楽なのに感動させられた。生々しい音楽なら、何でも好きだよ。僕らもそういう音楽を目指してるんだ。でもテクノロジーを利用して、僕らが伝えたいメッセージを伝えようとしている。50年代から70年代のミュージシャンだって、同じテクノロジーがあったら、同じように利用したに違いないよ。その目的を果たしたかは分からないけど、ベストを尽くしてるよ。
--- ジャイルス・ピーターソンのBBC RADIO1に出演したヘビーとは同一グループですか?
K: 僕らがジャイルスピー ターソンの番組で演奏したかって?
C: 偶然にも、今度ジャイルス・ピーターソンに僕らの曲を渡さなきゃとは言ってたんだよ。別の人を通して僕らの曲が彼らに渡った可能性はあるけど。でも初めてその話を聞いた!
K: ジョン・ステイプルトンが彼に会ったと言ってたよ。
C: プロモーションのために、ジョン・ステイプルトンにたくさん僕らのCDを渡しておいたんだ。
K: じゃあ可能性はあるね。
C: そうだといいね。もしそうだったら嬉しいよ(笑)。あとでウェブサイトをチェックしなきゃ。他にザ・ヘヴィーというバンドはいないはずなんだ。ウェブサイトを登録するときに、問題はなかったからね。他にザ・ヘヴィーというバンドがいたら、この名前は使えないはずだったから。
--- 今後のアルファの活動を教えてください。
C: 前にも言った通り、まずは制作中のボーカル・アルバムを出すこと。それぞれの作品に、一貫したサウンドと世界があるようにしたいんだ。それぞれの作品には、一人のシンガーだけをフィーチャーするようにしたい。ボーカル・アルバム2枚分のバッキング・トラックはだいたい完成してるんだ。
--- メッセージはありませんか?
C: ウェブサイトをチェックして欲しいね。 http://www.alphaheaven.comをチェックして。そうすれば最新のリリース情報を見ることができるよ。
--- ザ・ヘヴィーのアルバムはいつ完成しますか?
C: 難しい質問だね。まだ答えられないよ。2月を目指してるけどね。
K: 大変だろうけど、それまでに完成することは可能なはずだ(笑)。
2005年11月23日 パディントンにて
Photo by Akiko Kano
Interveiw by Rush Production.

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